イジワル上司と秘密恋愛
「柳、ブレストは意見を出し合う場所だ。どんなアイディアを出しても構わない。改善案は歓迎だが否定は禁止だ。分かっているな?」
咄嗟に割って入ってくれたのは綾部課長だった。普段より厳しい彼の口調にハッと顔を上げ、無理矢理に口角を持ち上げる。
「すみません。私、プレゼン下手で。柳さんの言う通り、これじゃ他社の二番煎じに見えちゃいますよね。えっと、この緑茶割りの商品なんですが、従来のものと違ってビバレッジ事業部の商品とコラボさせて人気の拡大を図ったもので……」
焦っていたからしどろもどろだったけど、なんとか柳さんの顔を潰さないように説明をつけたし険悪な雰囲気を打ち消そうと明るい声を出した。
「ああ、そういう事なのね。だったら先に説明しなさいよ」
課長の注意などどこ吹く風で、柳さんは腕を組むと私の方を呆れたように見やる。
それ以上は綾部さんも何も言わなかったけれど、微妙に漂う緊張感は最後まで残り、私は作った笑顔を浮かべながら、もう残りのアイディアを発表する勇気を失くしていた。