イジワル上司と秘密恋愛


「……っ、いた……い」

「え?」

彼女がまだ未経験だと気づいたのは、充分潤わせてから指を差し入れたにも拘わらず、苦しそうな顔をされたからだった。

「志乃、もしかして……初めて?」

「うん……」

眉をしかめ目を閉じたまま小さく呟かれた答えに、俺の胸が高揚感と戸惑いで詰まる。

大人になってから、好きな女と身体を重ねることは当たり前の感覚になっていて、両者の合意さえあれば躊躇うことなどなかった。

けれど、告白したその夜に処女まで奪ってしまうのは、彼女にとって早急すぎないかと少し心配にもなってしまう。

女にとってはきっと一生思い出に残る出来事だ。もっとムードのある場所で時間をかけて愛を紡いでやるべきだろうか。

けれど、そんな気持ちとは裏腹に、どうしようもない欲求が湧き上がってもくる。

……好きな女の“最初の男”になれる悦び。こんなに支配欲を刺激する悦びはそうそうない。
 
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