イジワル上司と秘密恋愛
けれど。木下くんは席を立ち泣いている私の隣へ来て涙を拭ってくれると、困ったように微笑んだ。
「また泣かせちゃったな、ごめん。でも春澤は申し訳なく思わないでほしい。俺、断られるの分かっててプロポーズしたんだから」
「え?」
「別れたときから何も進展してないのに、春澤が俺を受け容れてくれる訳ないのは分かってたよ。でも、伝えたかった。俺が今でも、こんなにも好きだってこと。だからいいんだ、今日は断られても。これから必ず、俺は春澤を好きにさせていくから」
思わぬ彼の大らかで強気な発言に、ポカンとしてしまう。
「あきらめない。何度だってプロポーズするから」
そう言ってギュッと目に力を籠めた笑顔を私に向けると、木下くんは再び席に戻っていき、
「さ、食べよう。せっかくの料理がさめちゃうからな」
と、再び明るい雰囲気で食事を再開させた。