イジワル上司と秘密恋愛
「言っただろ、お前の電話番号ずっと消せなかったって。……やっぱり忘れられなかったんだよ。春澤のこと結局俺じゃ笑顔にしてやれなったの、ずっと不甲斐なく思ってた。子供のときはお前を泣かせてばっかりで、なのに大人になっても結局笑顔にしてやれなくて……悔しくてたまらないんだ」
「……木下くん……」
「だから今度こそ、春澤を幸せにしてやりたいと思ってる。俺の人生を賭けて」
——……こんなにずっと想い続けてくれている彼の気持ちが、すごくすごく嬉しい。なのに……どうして私は木下くんにときめくことが出来ないんだろう。
「……春澤?」
俯いて涙を零してしまった私に、彼が焦ったように呼び掛ける。
「木下くん……私……ごめんなさい……」
泣くほど申し訳なく思いながら、私は自分が嫌になる。
一年半前となにも変わっていないことに。
一生懸命に愛して支えようとしてくれている木下くんに、私は思わせぶりな態度で結局は突き放す。何度も罪悪感に苛まれたのに、また同じことを繰り返してしまった。
——来るんじゃなかった。来るべきじゃなかった。
安易に今日の誘いを受けた自分に、嫌悪する。