イジワル上司と秘密恋愛
居酒屋で生ビール、だったらとても気が楽だったのに。
綾部さんが連れて行ってくれたお店はビルの地下にあるお洒落なダイニングバーだった。
「お腹すいてるだろ。ここは料理も美味いから、遠慮なくなんでも食べな」
「すみません、どうも……」
大人の雰囲気漂うアーバンテイストな店内、隣の席には色気さえ漂う素敵な男性。
そんなシチュエーションに不慣れな私はどうしても緊張してしまって、喋る声までどこか弱々しくなってしまう。
すると、ぎこちなくメニューを捲っている私を見て綾部さんはクスクスと肩を揺らして笑い出した。
「まるで借りてきた猫だな。いつもの元気はどうした?」
「べ、別に……普通ですよ。ちょっとお腹が空いてるだけです」
過剰に意識してしまっている事が恥ずかしくて、また虚勢を張ってしまう。なんだか今日は綾部さんにペースを乱されっぱなしだ。