ねこ
それから、数十秒の沈黙が続いた。今まで、沈黙が気まずかったり、会話に困ったことなんて一度もなかったのに、この時間をとても長いと感じたのは、多分、あのキスだけが原因となっていたわけではなかった。

どんな話題を出そうかと考えを巡らせていると、彼女の方が先に口を開いた。

「私、先輩 のことが好きです」

彼女は真っ直ぐ俺を見て言った。

その頬は確かに赤みを帯びていたが、彼女は顔を隠したり、目を逸らしたりはしなかった。

僕も―――そう言おうと思ってやめた。

こんなことを言っても、仕方がないのだ。
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