もう一度君を  この腕に
「あのさ、良かったら紹介したいヤツがいるんだ。」

「はぁ?」

「彼氏にどうかと思って。」

「私、失恋中なので遠慮します。」

「へぇ、そうなの?どうりで元気がなさそうに見えた。」

「私、そんなに暗いですか?」

「可愛いのに勿体ない。俺が紹介するヤツは彼女をフルような男じゃないよ。」

私は川崎さんをまじまじと見た。

「付き合ってみて木村さんがちょっと無理かなと思ったら相手に言えばいいし。」

「でもそんなの悪いです。」

「そうかな?合わないのに無理して付き合うことはないと思うけどね。」

「でも。」

「無理なら相手も早い段階で傷つかなくて済むしね。」

「お見合いみたいです。」

川崎さんは笑った。

「会ってみない?」

「どうしようかな。」

私が考えている間川崎さんはそばで静かに待っていた。

会って嫌なら断ればいいとはっきり言われたので私は決めた。

「私、会ってみます。」

「良かった。じゃ、明日の日曜日いい?」

川崎さんとメアドを交換した。

先方とコンタクトを取ってからメールをくれることになった。

何だか楽しそう。

川崎さんは彼女がいそうだから

もしかしてダブルデートかな?

川崎さんは社交的な感じがした。

紹介してくれる人がどんな感じかは会ってみないとわからないし

卓巳さんのことは過去の恋だったと明るく思えるような大人になりたいし

私は一歩ずつ階段を昇るように新しい素敵な恋がしたかった。

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