もう一度君を  この腕に
私は卓巳さんからの別れのメールが頭にこびりついていた。

彼が転勤してもうすぐ1年になる。

あの時の短いやり取りが彼からの最後だと

私にはまだ飲み込めないでいた。

社内の飲み会があると聞いてもそんな気分になれなかったが

仕方なく出席した。

私は缶チューハイを片手にサラダバーがあるパラソルの下にいた。

ビアガーデンは社長のご自宅の中庭で開かれた。

広いウッドデッキにはパラソルが6本あり

サラダバーの他はドリンクやバーベキュー

専務が切り分けているローストビーフのカウンターと

チョコレートファウンテンがぐるぐると回ったコーナーには

フルーツとデザートが並んでいた。

営業部の川崎さんはいきなりだった。

「木村さん、営業の川崎です。顔くらいは知ってるよね?」

「はい。」

「突然だけど聞いていい?」

「はぁ?」

「今付き合ってる人いる?」

「いませんけど、どうしてですか?」

卓巳さんはLAで彼女を見つけているかもしれない。

私はそう思ってガックリした。

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