もう一度君を  この腕に
「木村さん、こっちだよ。」

先輩の声に僕は心の中で万歳を叫んでいた。

「遅れてすみません。」

先輩は彼女に僕を紹介した。

「酒井だ。彼は君を裏切らない男だと俺は思うよ。」

木村は先輩にそう言われて僕を見つめた。

僕は彼女に見つめられてかなり動揺した。

心臓がバクバクしてきた。

取り合えず何か言わないとと思った。

「改めてよろしく。」

僕はこれ程の居心地が悪い状況に耐えられるか自分で自分を心配した。

「准くん、私こそよろしくね。」

木村はにっこりと笑顔で答えてくれた。

僕がホッとしたのもつかの間で

先輩と由樹さんは早くもランチバイキングの話題で盛り上がっていた。

「龍司、洋食にしてくれたらあとで中華まんをおごるから。」

「よっしゃ、行こうか。」

先輩は由樹さんに甘いようだ。

4人で目指すレストランに入った。

日曜日は予想通り混んでいた。

4人掛けのテーブル席に案内された。

ドリンクバーに並んだ時でさえ

先輩と由樹さんは何をどの順に飲むかで盛り上がり

席についていざ食べようとした瞬間でさえ

次に何を取りに行くかで盛り上がっていた。

木村が笑い声を絶やさず

しきりに目線をくれる彼女と一緒に笑い合える瞬間が僕は嬉しかった。

先輩は僕が木村に想いを寄せていることを知っていたのだろうか。

そうでなければさっきのセリフは言えないはずだ。

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