もう一度君を  この腕に
准くんと付き合って3年くらい経った。

さっき給湯室を出たら卓巳さんと目が合った。

一瞬だった。

彼が帰ってきた。

彼も私に気づいたはず。

なのにデスクの方へ行ってしまった。

彼はたくましい雰囲気がさらにアップしたようだ。

いつ帰ったのかしら?

私にはなんの連絡もなかった。

またすぐLAに戻ってしまうのかしら?

彼が転勤してからもう4年も経っていた。

行ってしまってからメールで一方的に別れを告げられたままだ。

あの時は悲しかった。

そばにいて欲しかった。

それでも別れの哀しみや辛さは4年という時間を経て

次第に薄れていったのは事実だ。

彼は男らしい包容力があって

優しい気持ちや気遣いが言葉に現れていて

本当に素敵な人だった。

私は卓巳さんとのことは恋の一つだったと思えるようになれた。

それは今の彼のお陰だとも思っていた。

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