もう一度君を  この腕に
夕美の彼氏は俺より遥かに大人だった。

俺の裏切りを忘れられずに心の奥で苦しんでいる彼女を理解していたし

彼女との未来を本当につかみたいと思っているヤツだった。

俺は夕美が最後に言ったことを今も噛みしめていた。

「愛し合ったことは間違っていなかったし、卓巳の想いも本当だった。お互いに忘れられずに辛かったのもわかった。でも私は前に進みたいの。」

彼女を手離した自分の若い過ちは

俺の一生の負い目になるとやっと覚悟できて

俺は一応吹っ切れたように思うしかなかった。

プライベートでくさくさしていた時

今の会社の小沼社長にヘッドハントされ

配属された貿易部門にいた木村愛莉と付き合っていたが

半年も経たない内にLAへ飛ばされることになり彼女に泣かれた。

愛莉は清純でギトギトした過去もなくまっさらで

俺には勿体ない女だった。

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