FIRST KISS ~オムニバス~
「あ、あの人。」
リナが外を指差す。
綺麗な顔立ちの男。
さっき見えなかった顔はあれだったのか。
まじまじと見つめてみる。
でも、やっぱり良い感じじゃない。
金髪で、ピアス。
好青年とは程遠いタイプだ。
「好きなの?あれが。」
「そ!真面目タイプはもう飽きたみたいな?駄目だよ、押しが強い子じゃないとね~。」
「何言ってんだか。」
椅子にとすんと座る。
何だか拍子抜け。
恋愛対象。
リナが言うくらいだから、
予想を反するのかと思った。
つまんないの。
この生活も、何も変わりそうにない。
まあ、人生そんなものだ。
「……顔は綺麗だよね。」