FIRST KISS ~オムニバス~
「あ、来た。」
「…………。」
首を鳴らしながら後ろを向く。
確かにさっきの人だ。
やっぱりチャラ男じゃん。
「はよ~。」
「茜、あたし行って来る!!」
「行ってらっしゃい。」
パタパタと足音を立てて去っていくリナはやっぱり女の子らしくて可愛い。
ぼけっとした私より良いんじゃないかな。
天然までは行かないけど不思議。
そういう風にはよく言われる。
和むって言ってくれる人もいたけど
それって抜けてるって事?
「…………。」
ポケットからチョコを出す。
ミルクチョコ。
朝隠し持ちで持ってきた。
「いただきます。」
「あれ~?茜ちゃんっ?」
後ろから聞こえてくる声。
ああ、来ちゃったよ。
そう思いながら横目で見る。
「そんな眼で見ないでん♪」
「ウザイ。」
「な~に?聞こえね~。」
「あっそ。」
そっぽを向いてチョコを口に入れる。
美味しくない。
何これ、わさび?
いまどきわさびチョコを置く家って……。
ミルクチョコかと思ったのに。
「…………。」
まず。