FIRST KISS ~オムニバス~





「楠木何くん?」
「楠木幹也。幹也で良いよ。」

リナが楽しそうに話してる。
幸せそうだなぁ……。
恋ってあんなもんか。

「…………。」
「茜、またボーっとしてる?」
「ふぇ?」

変な声を出して振り返ったら元中のイツキ。
読書好きの勉強好き。
とにかく変わった子。
でも、馬が合うのかいつも一緒だった。

「今回から同じクラスなんだね。」
「何よ、親友の名前ぐらい把握して!!」
「はいはい。」

きゃーきゃー言いながら背中を叩いてくる。
この子はやっぱり不思議だなって思う。

「先生、誰なの?」
「さあ?この学校始業式ないからね。」
「変な学校だよね。」
「ね~?」

そう、変な学校。
別に入りたかったわけじゃない。
ただ入ればって言われてフラッと。
そんなもんだ、私の人生。

「茜ちゃん、隣で良い?」
「は?」

睨むと少し驚いた眼の楠木。
何?チャラ男は寄るな!

「いやんな眼~。」
「他の席にして。」

リナに何か言われるでしょ……?
たく、無神経が。





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