ゆりあ。

=新人期間=

『たっだいまあ!』

『おお!おかえり!』

お昼から面接に
出かけたあたしは
6時には家についた。



龍也は
カレーをぐつぐつ
煮込んでた。


同棲を始めて
半年くらい。


付き合いだしてからは
1年くらい。



鳶職の龍也は
朝は早く出掛け
夕方に帰ってくる。



たまに早く帰れて
元気があれば
こうしてご飯を
作ってくれた。


休みの日には
あたしが料理するけど
1人暮らしの
長い龍也と
ずっと実家暮らしの
あたしとじゃ
料理の腕は断然
龍也のほうが上だった。



『どおだった?パチ屋の面接。』


『ん~合格だったよ!店長が今日は、いなくて副店長と面接したんだけど超話しやすくてね~』



カレーをテーブルに
運んで並んで食べる。


すぐバイトが決まって
良かったねって
龍也は頭をなでてくれた。

ご飯をたべて
お風呂に入って
朝の早い龍也は
少し早めの10時には
ベッドに入る。


『おやすみ。』

おやすみのキスは
お決まり。


くちびるが離れると
龍也が首をかしげて
自分のくちびるを
ぷにぷにとさわる。


あたしは
つい何時間か前に
他のくちびるに
触れたことを
思い出す。


『おまえさ…』




―――ドキッ。








『リップ変えたの?いちごの匂いじゃねぇ。』

『あっ、あぁ!あれなくなったから桃の匂いのに変えたんだ!』

『桃かあ!何かわかんなかった!んじゃおやすみ!』


もう1回キスをして
3分くらいで龍也は
いびきをかきはじめた。



あたしは
ホッ。
っと胸をなでおろし
今日1日を振り返った。


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