恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜


「……こっから先は、警察の仕事だ。俺は三河に会いに行ってくる」

「合鍵の情報は?」

「抜け目のないヤツめ……わかり次第教える」

「サンキュ。俺ももう一度増本さんに話を聞かないとな……」


(被害者が同窓会の夜に鍵を失くしたかどうか、彼が知っているかもしれないからな……それにしても、同窓会っつーのはロクなことが起きない)


桐人はそんなことを思ってため息をつくと、津田の背中に続いて玄関の方へ向かう。

外に出ると、そのままさっさとエレベーターの方へ歩いていく津田に対して、桐人は「あれ?」と周囲を見回す。


「……ウチの相棒どこ行った?」

「知るか。びびって事務所でも帰ってるんじゃねーのか?」

「そうかな……」


(具合悪そうだったし、どこかで休んでるのか……?)


桐人はポケットからスマホを出してみるが、特に連絡が入った様子はない。

珍しく深刻そうな顔でスマホを見つめる桐人の様子に、津田はさっきの仕返しとばかりに彼を茶化した。


「ずいぶん可愛がってるみたいだな。……あの小娘、ただの部下じゃないんだろ?」


桐人の女好きのことは津田も知っていたから、冗談として聞いてみたにすぎなかったのだが、桐人の反応は彼が予想していたものとは違った。

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