恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜
7.Violation





――二年前。

観光客でにぎわうグアムの西海岸、タモンビーチ。

日本からたった三時間余りで気軽に行けるそのリゾートを、俊平は大学の卒業旅行で気の合う友人二人と訪れていた。


「……あー、明日にはもう帰んのか」

「つーか海外女子は積極的だとか言ったの誰だよ? 逆ナンされるどころか、俺らなんて完全にガキ扱いじゃん」

「だな……」


彼らは白い砂浜に手をついて足を投げ出し、エメラルドグリーンの浅瀬で遊ぶ女性の水着姿に目を細める。

解放感あふれる美しいビーチで、何か特別な出会いがあるかもしれない――それがこの旅行の合言葉だった。

けれど、それは気分を盛り上げるための冗談であり、俊平以外の二人は、友達同士めいっぱい楽しむだけで満足だった。

それに対し、“たとえ旅行先での、一夜限りの恋でもいい”

そんな風に切実に出会いを求めていたのは、高校を卒業してからもずっと夏耶の影に心を支配されたままの、俊平だけだった。


「……ちょっと、散歩してくる」


すくっと立ち上がった彼は、友達を砂浜に二人残して海岸線をあてもなくぶらぶらと歩いた。

日本よりべたつきの少ない海風が肌を撫でていくのが心地いい。


(いつか、カヤと一緒に来れたら――)



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