ずっと、そばにいたい

帰り道に


「――スミマセンでした、ご迷惑をおかけしてしまって…」

ペコッと頭を下げると、クスッと笑い声が降ってきた。

「仕事だしね、これくらいどうってことないよ」

頭をあげると、私の目線より上の方に先生の笑顔があった。


…以外と背、高いよね。

………チッ。

「…」

「ん?どうかしたかい?」

「…いえ」

縮んでしまえ!


「あ、真昼によろしくと言っておいてもらってもいいですか?」

「ハハ、君も面倒な係を僕に押し付けるね」

君も?

誰と比べられたんだろ。

ま、いっか。


「スミマセン、でも先生が一番適任かなって思ったんです」

て言ったら、違いないって笑った。

ホント、この人よく笑うなぁ。

どうすればこんな風に、素直に笑えるんだろう。


…いいなぁ。


「…じゃあ、真昼のこと、よろしくお願いします」

「うん、任せて。しっかりなだめておくから」

ニコッて笑う先生に、私は軽く会釈すると背を向けて保険室の扉に手をかけた。



「――あ、そうそう」


内心、「またか…」と呆れながらも、私は平静を装って振り向く。

「ストレスケアは入念にね。あとしっかり休むように!」

「…はい」


…それだけ?

私をじっと見る先生に向かって、ちょっと首をかしげて見せる。

「何?」と言うように。

だって、他に聞きたいことがあるような顔してる。

気づかないフリするのもいいけど、スッキリしないし。



< 45 / 123 >

この作品をシェア

pagetop