ずっと、そばにいたい
 
「……」

とりあえず、することもなかったから私はボーッと外を眺めた。


ふと、昔のことを思い出す。


雪、厚い雲、モノクロの街、白いマフラー…。

まだ鮮明に思い出せる。

プチ家出をしたあのときのこと。


…あの人を探すために、私はここに来た。

そう、意味もなく来た訳じゃない。

最近忙しくて忘れかけてたけど、本来の目的はあの人を探すため。

マフラーを返してもらうため。


(転校初日はホンット、大変だった)

告白されて、断ったら学校じゅうの女子を敵にしちゃって…。

家まで来られるのは勘弁だったから、次の日からはパーカー着て登下校をした。

これのおかげで登下校は女子にからまれなくなった。


でも、ある事件が起きた。


転校して3日目、たった3日。

その日の下校中、私は不良の喧嘩に巻き込まれた。

まぁ、正確には巻き込まれてる女子生徒を助けようとして巻き込まれたんだけど…。


襲いかかってくる不良を、私はとにかく無我夢中で殴り倒し、戦闘不能に。

お父様に習うように言われてた護身術、空手、柔道、剣道、レスリング、合気道、ボクシング等々。

次々と通用していく、それが裏目にでた。

結果、その日は無傷でやり過ごせたけど…。


次の日から私は『金狼』って呼ばれて、最強の不良って噂になって恐れられていた。


怖がられるのはなれてたからよかった。

けど、どこをどうやったらファンクラブが出来るの!?


不良の世界ってよくわからん!!って思った。


それから私は『金狼』って呼ばれて恐れられ、時には慕われていた。


(…はぁ、あのとき助けなければこんなことには……)

ほらね、他人と関わるとろくなことがないって分かる。


私が仲間を作ろうとしないのは、他人と関わらないようにするため。

これ以上の被害はちょっとね。

それに、今の私の仲間になっても、喧嘩の巻き添え食らうだけでいいことないだろうし。

怪我されて、逆恨みされても困るしね。


だから、私に


「仲間なんて、いらない」


不良グループなんてもってのほか。

絶対入ってやるもんか!!


私は旧校舎を睨むと、背を向けて、また瞼を閉じた。


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