思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「長かった………長かったよ!!」
あの日からあっという間に3日が過ぎた。
透に没収されていた夕のお菓子が返却される前に透から一言。
「今後は勝手にキッチンから食べ物をくすねないこと。あと、お菓子は1日2つまで」
「ぐぬぬ……分かった、約束しますー!」
「なら良し」
「はぁ、やっと戻ってきたー!僕の大切なお菓子っ」
二人の姿はまるで母子のようだった。
透は本当に一つしか歳が違わないのだろうか。
成人を通り越して親にまで登り詰めていそうなくらい大人だ。
父親のような………いや、やっぱりお母さんだ。
そして夕は、本当に同い年なのだろうか………明らかに低年齢レベルにしかみえない、どうしよう。
背は私よりも高いのにね。
でもなんだか見てるとほのぼのする。
なんだろう、この気持ち。
「夕、良かったね」
「うん。ってことで、早速優那ちゃんにこれを贈呈致します。手、出して」
手に置かれたのは銀色の紙に包まれたサイコロ型のものが3つ。
「ん?」
「キャラメルだよ」
「ありがとう」
「そのキャラメル好きなんだ〜。口に入れた瞬間フワッてとろける感じがたまらないんだよ」
一つ、紙を剥がして自分の口に放り込む。
すると夕が言った通り、口の中でフワッと溶け、口いっぱいにキャラメルの甘くて美味しい味で溢れた。
「おいひぃ……」
「でしょ!」
「んふふ」
その美味しさに頬が綻ぶ。
「優那ちゃんが微笑んだ……?」
「?」
物珍しそうに私をみつめる。
顔に何かついてるのかな。
「優那ちゃんの微笑んだ顔見れた。これは僕だけかな」
まるで独り言の様に呟くけれど、私に丸聞こえだ。
微笑んだ………?
「優那ちゃん、ここに来てから全然笑ったりしなかったから。ましてや表情もあんまり変わらないし」
「そうかな」
自分じゃ気づかないものだ。
「でも、今のみて安心した」
「……」
「今の表情は僕しか見てない。僕だけの特別だね。なんか嬉しいな」
どうしてそんなに嬉しそうにするのか私には分からなかったけど、それが良いことならそれでいいと思った。
あ、課題やらなきゃ。
明日提出のワークがあったはず。
そんな中、私はふと思い出した。
「夕、キャラメルありがとう。私課題あるから部屋に戻るね。って、夕もあるんじゃないの?」
「んー、まあね。後でちゃんとやるから大丈夫だよ」
「そっか」