思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中





「遅い……」




あれからもう随分と時間も経ち、昇降口を通り過ぎる人も殆ど居ない。




聞こえるのは外部活の掛け声だけ。




流石に待ちくたびれた。



教室に行ったにしても、こんなに遅いなんて。



もしかして教室じゃなくて別の場所に行ったとか。



それか、寝てしまっているのかもしれない。



心配になって、教室に行ってみることにした。



補修は別の特別教室で行われているから誰も居ないはず。



やっぱり寝ているのかもしれない。




でもわざわざ教室に戻って?




そんなことを考えながらとぼとぼと教室までやってきた。




「ねぇ、どうしてもダメなの?」




教室の扉に手をかけようとしたその時だった。





教室の中から、声が聞こえた。



蒼空じゃない、女子の声だ。



入っちゃいけない気がして私はそっと隠れる。




「………嫌いに、なった?」




告白?




「嫌いも何も、そういうのじゃ……」





蒼空の声だ。





やっぱりここにいたんだ。





「なら、お願いだから私と付き合ってよ」





「なんか意味変わってるんだけど……」




やっぱり告白なんだ。




人の告白を聞くなんて、悪いことをしてるみたいだ。





「好きなのよ………………」





「その気持ちは十分伝わった」




私は唾を飲み込んだ。




これ以上は聞いちゃダメ。




音を立てないようにそっと教室から離れようと足を前に出した。



「いきなりこんな事言われて戸惑うのはわかるけど……!」




「いや、だから_____」





「私、本当に好きなの。







____________________女装男子が!!!!」









ん?



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