思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中






「よし、もうそろそろいいかな」





冷蔵庫で冷やしていたキャラメルが完成したみたい。





1枚の大きな大きなキャラメルを、包丁で一口サイズに切り、包装紙でキャンディーのように包んでいく。




「完成!ってことで、試食どーぞ」





一つ摘んで、口へ放り込む。




甘くて柔らかくて、スッと口の中で溶けてしまう。





「夕先生」





「何だね、蒼空くん」




「これ、とても美味しいです」



変わらない表情だが、どこかキラキラしていた。




「本当!?」




「うん」



つい、もう1粒食べてしまいたくなるような感覚に至る。




「良かったぁ。あ、ねぇ優那ちゃんはどう?」





「凄く美味しい。天才なの?」





「えへへ……そうかな」




体をよじらせ、頭を掻いた。




「ん、美味しい。お店に売ってるのよりも美味しいんじゃない?」




「透ったら、大袈裟だよ〜」





「……お前ら俺に内緒で何食ってんだよ」




夕手作りの生キャラメルを試食している私達を見るなり、拗ねたように大きな声をだす真。



今帰ってきた様子。



その表情は、疲れていた。




「真も食べる?僕特製の生キャラメルっ!」




「生キャラメル?あいにく俺は甘いもん好きじゃないんだよ。」




ちっ、甘いもんかよ……違うもんなら食ってたのに。



と文句を吐き捨てた。




真は甘いもの苦手なんだ、初めて知った。





「いいからいいから、騙されたと思って一つ食べてみてよ」



「っあ、おい!無理矢理突っ込もうとする…………な!」




夕は、嫌がる真の口に無理矢理キャラメルを放り投げた。




「どう?」




「…………うまい」



目を見開いて、味わうように口を動かした。




「真、甘いもの嫌いなんじゃなかったけえ〜?」




夕が、ニヤニヤと煽りを入れる。




「い、いや、まあまあだな」





美味しいというのが、表情から伝わる。



バレバレだ。



そのくらい素直に言えばいいのに、と思うけれど、素直に言えないのが真だからしょうがない。










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