思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中





「そうだ、皆に聞いておきたかったんだけど、夏休み何か予定とか入ってる?」



ふと思い出して、キャラメルを口にする手を止めた。




「僕は特に予定ないよ」





「……ない」




「俺も別にねーけど」




皆暇人か。





「帰省もしないんだ」





「帰っても面倒なだけだ」



真はため息混じりに言う。



「僕の弟も今年受験だし、帰っても構ってくれないんだよね〜」




弟……?




夕に弟だなんて、想像が出来ない。



どちらかというと、夕は弟側だと思っていたし……。




「弟居たんだね」




「言ってなかったけ?僕これでもお兄ちゃんなんだよねっ」



ふん、と鼻息を荒くして胸を張る。



「意外………兄弟いたとしても夕は弟の方だと思ってた」





「そうかな〜?あ、でも透は弟側だよね」




「まぁ、一応大学に兄が居るけど……ここ最近は会ってないなぁ。どうせ研究が忙しくて会う暇なんてないだろうけど」





逆に、透は兄だと思っていたのにこれまた意外。





「透の兄貴のことは勿論知ってるけど、兄貴の方見ると弟の方がしっかりしてるのも納得するわ」





「あー、分かる。2人を見てるとどっちがお兄ちゃんなのか分かんなくなるよ」




1度会ってみたい、なんて思ってきた。




「……」




一方、蒼空はこちらの話なんて興味ないかのようにパクパクと夕が作ったキャラメルを口に放り込んでいた。





「蒼空は?」




折角だから聞いてみた。





「優那と一緒で一人っ子……」



どこか遠いところに視線を向けたまま答える。



まるで私のことなら"知ってます"というような口ぶりだ。



あれ、蒼空に話したかな。



と混乱してしまったが、あいにく私はあまり自分のことをほとんど話していない。



だから蒼空が知るはずないんだけど……




「よく私が一人っ子だって分かったね」




「……雰囲気的に」




一瞬方を震わせたのは何故だろう。




まあでも、一人っ子は一人っ子なりの性格とか雰囲気がある。




兄弟が居るのと居ないのとじゃ育ち方が変わるってのは確かだし。






「あ、そうだ。真は?」





「俺は、年の離れた双子の妹が………な」




少し照れくさそうに言う。




「真に妹居たんだ。しかも双子!初めて知った」





夕たちも知らなかったよう。





「可愛い妹が居るなら帰ってあげれば良いのに」



妹だって会いたがってるんじゃない?



と言い加える。




「うっせ。帰るとアイツらにお人形遊びだのおままごとだのに付き合わされて、ゆっくり出来ないんだよ」





「あー、それで面倒なだけって言ったのか。真、写真無いの?」



透は興味津々に真にいい積める。



「透、お前好きそうだよな。小さい子の面倒見るの」




「だって可愛いじゃん。癒されるし」




「俺の代わりにうちに帰って欲しいくらいだわ。親がうるさいんだよな、帰ってこいって。ま、帰るつもりないけど。……っと、あったあった」



真は妹の写真を財布の中から取り出した。




「お財布に入ってるってことは、やっぱり妹が可愛いくて仕方ないんでしょ〜?」




夕が真をからかう。




「っるせ。ほらよ」



真も真で、特に否定するつもりもないようだ。




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