思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「ひっく……パパとママが居なくなっちゃったの。……………お姉ちゃん、だあれ?」
「お姉ちゃんもね、貴方と同じ迷子なの」
女の子の前にしゃがみ、視線を合わせる。
「お姉ちゃんも迷子なの……?」
「うん。だから、お姉ちゃんと一緒にパパとママ、探そう?あそこのお兄さんも手伝ってくれるから」
チラッと蒼空を見ると、ビクッと肩を揺らした。
まるで、「え、俺も……?」とでも言っているよう。
「お姉ちゃんは大丈夫なの?」
逆に心配されてしまった。
「うん、大丈夫。私はもう高校生だから」
「こーこーせーでも迷子になるんだね」
「うん」
痛いところを突かれた。
「わたしね、宇美ってゆーの」
「宇美ちゃんはどこでパパとママとはぐれちゃったの?」
いつの間にか泣き止んでいた宇美ちゃんにそっと尋ねた。
「ママとおトイレに行ってたんだけど、宇美だけママよりも早く出たから、パパの所に行ったんだけど、パパが居なくなってて、探してたの」
「うん」
「でも居なくて、ママに言おうと思って戻ったんだけど、ママも居なくなってたの。だから探してるの。でも居なくて………宇美、置いて行かれちゃったのかな」
「きっと、宇美ちゃんのパパとママも宇美ちゃんを探してるんじゃないかな」
こうして宇美ちゃんを見てると、昔を思い出す。
幼い頃、お父さんとお母さんとデパートに来て、迷子になっちゃって。
ただひたすら泣きながら歩いてたなぁ……。
______こういうことは覚えてるのに、どうして他のこと覚えてないんだろう。
「宇美ちゃん、あのお兄ちゃんが肩車して、高いところからパパとママを探そう?きっと宇美ちゃんのこともよく見えるから」
「うんっ!」
「俺が肩車するの?」
面倒くさそうな表情をする。
「お兄ちゃんかっこいいし、背が高いね!お空まで届いちゃいそう!」
宇美ちゃんが大きな蒼空を見上げ、そう言った。
「任せて」
褒められてやる気が出たらしい。
単純だなぁ。
軽々と宇美ちゃんを抱き上げ、自分の肩に乗せる。
「うわぁ、高いね!これならパパとママからも見えるかな」
「見えるよ。ちゃんと掴まっててね」
「はぁーい」