思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
そのまま、私達は店内を歩き回った。
当然視線を沢山浴びたけど、そんなの気にならなかった。
宇美ちゃんのためだもの。
宇美ちゃんはその小さな身体から、大きな声を出す。
「パパー、ママー!どこー?宇美はココだよー!」
「ね、パパとママはどんな格好してるの?」
肩車をしながら、蒼空が優しい笑顔で尋ねる。
「うんとね、ママは黄色の服着てて、パパはハワイの服来てるの。あとね、パパ、サングラスつけてるんだぁ」
ハワイの服にサングラス……随分とわかりやすい。
「そっか。………って、あれじゃない?」
「あ、パパとママだ!!」
「宇美〜、どこだ〜!!」
「パパー!宇美はここだよ!」
宇美ちゃんは一生懸命手を振って、パパに居場所を知らせる。
意外と近くに居たけど、宇美ちゃんはまだ背が低いから、人の波に飲まれてるんじゃないかと、ずっと下を探している様子だった。
けれど、すぐに宇美ちゃんの声に気がついて上を見上げた。
勿論、蒼空に肩車をされていたことに心底驚いている様子だ。
「宇美!!」
人の波を掻き分けて、サングラスを頭にかけたハワイアンなお父さんが登場した。
「パパっ!」
蒼空の肩から降りると、一目散にパパに抱きつく宇美ちゃん。
仲がいいな。
「心配したんだからな!」
「ごめんなさい。でもね?優しいお姉ちゃんとお兄ちゃんが一緒に探してくれたの。」
「そうか、良かったな。………宇美がご迷惑をお掛けしました」
ぺこりと頭を下げられ、一瞬どうしたらいいのか分からなくなった。
「いえ、見つかって良かったです」
「宇美、ちゃんとお礼を言いなさい」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう!」
「ん。」
「じゃあ、ママの所へ行こうか。きっと心配してるぞ」
「うん!」
最後にもう一度"ありがとうございました"と言うと、しっかりと手を繋いで歩いていった。
「良かったね」
「そうだね」
「じゃあ、戻ろう」
「透達、私達のこと探してるかな」
「きっとね」
私たちも、あの場所へ戻ることにした。
じゃないと、透達に見つけてもらえそうないもの。