思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
山城くんの言う通り真っ直ぐ歩くと、目の前には海が見えてきた。
潮の香りが鼻腔をくすぐる。
「あぁ、アレだ」
透が指すのは、海沿いに佇む庭付きの大きな屋敷。
「これって、お屋敷って言うレベルだよね……。旅館にでも泊まるのかと思ってたんだけど、これは予想外だよ」
夕がぽかんと口を開ける。
「でっけーな。これ、貸家か?」
流石にこんなに大きな屋敷が貸家だったら、それはそれで驚きだけど。
「いいや、家の所有宅だよ。つまり、別荘ってとこかな。俺もここに来るの久しぶりなんだよね。ここに来るのいつぶりだろう」
視線を遠くにやる透。
そんなことよりも
「透の家、お金持ち……?」
こんなに大きな別荘を持っているなんて、相当のお金持ちしかいない。
「んー、どうだろうね。父親の事業はかなり上手くいってるみたいだからね」
つまりは、透のお父さんは社長ってことだよね。
「凄いね」
としか言葉が出ない
「僕も透の家が裕福なのは知ってたけど、なんかもう扱う桁が違うよ……」
「透の親は凄い。でも、透は透だ」
言葉足らずな蒼空だけど、これでも彼なりにフォローしている。
「___そうだね。さ、中に入ろうか」
一瞬見せた悲しげな瞳を、私は見逃さなかった。