思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「広い……」
外装も内装も西洋の館そのものだ。
ここは日本か?
疑いたくなってしまう。
ホールの天井にはキラキラと光り輝くシャンデリア、床には高そうなカーペット、中央の広い階段を上がれば、長い廊下にいくつもの扉がある。
年季が入っている感じはするものの、ちゃんと掃除もされているらしく、手すりも棚も埃ひとつないピカピカだ。
「透、部屋ってどこ使えばいいの?」
「俺達が来る前にちゃんと用意してくれてるらしいんだよね。ついてきて」
言われた通り、透を先頭に長い廊下を荷物を片手に歩く。
「映画の中にいるみたい」
「あー、分かる。伯爵とか、メイドさんとか執事とかね」
「メイド居たらいいんだけどなー」
「あくまでここは別荘だからね。清掃の人達と家族以外が入ることなんてほとんどないよ。残念だけどメイドはいないんだ」
「勿体ねーよな、こんな別荘。てか、あの飾ってある絵って親父さんの趣味?」
「え?ああ、あれね……まあ、そんな所だと思う」
「そういえば、透パパの会社って何の会社なの?」
夕が興味津々に訪ねる。
「……化粧品会社だよ。結構なブランド品で海外でも名が広まってるみたい」
なんだか、透はその話が嫌みたい。
そう、透の顔が言っている気がした。
「えっと、ここの5部屋のどれか、自由に使っていいよ」
一番奥の、わかりやすい場所の5部屋を使わせてくれるようだ。
「じゃあ僕はこの部屋!優那ちゃんは僕の隣の部屋ね?」
「なら俺も優那の隣」
「俺はこっちの角部屋貰い。あの2人の近くだと騒がしいからな」
「あはは……じゃあ俺は余ったここでいいや。優那ちゃんはそれで大丈夫?」
「いいよ」
「じゃあ、支度が終わったら早速海に行こう!ってことであとでねっ」
それぞれ部屋に入る。
丁度私が部屋に入ろうとしたとき、後ろから透の声がした。
「あっ、そこの部屋は____」
「ん?」
振り向いて透を見ると、言いかけた言葉を飲み込んで「なんでもない」と言った。
腑に落ちないなと思いつつも、私は部屋に入る。
部屋の中も勿論綺麗にされていて、とてもお洒落だ。
天蓋付きベッドに、アンティークな家具のクローゼットや三面鏡のドレッサー。
こういう部屋って、絵本に出てくるお嬢様とかお姫様の部屋みたいで、少しそわそわする。
そんな部屋に圧倒されつつも、ベッドの隅に荷物を置くと、ふかふかのベッドに座り込んだ。
ふう、と一息つくけれど、このあとは海に行くんだ。
そんな時ふと目に入った、一つの置物。
陶器で出来たうさぎの置物がドレッサーの隅に置かれていた。
白くてかわいらしいうさぎの目には、まるで宝石のように光り輝く碧色のガラスがはめ込まれている。
その瞳に吸い込まれそうなほど引き込まれる。
目が離せない。
けれど、その瞳は片目しかない。
もう片方の瞳は、抜かれていた。
はっと気づいた時にはもう5分も時間が経っていた。
再び思考を正常化させると、荷物から”アレ”を取り出した。