思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
海から上がり、透が建てたパラソルへ行くと、いつの間にか夕も蒼空の砂遊びに混ざっていた。
「透、飲み物ねーか?」
「あ、ごめん、俺の飲みかけのしかないや。今買ってくるよ」
「いいよ透、それ一口頂戴」
喉が塩辛くて堪らない。
「え、これでいいの?でも飲みかけだし………」
今すぐ飲みたくて、戸惑う透の手からペットボトルを拝借した。
蓋を開けると、大きく一口中身のお茶を飲み込んだ。
「……ふぅ、生き返った。ありがとう、透」
喉の刺激的な塩辛さと、口内の少しのジャリジャリ感から開放された。
「う、うん」
「どうしたの、固まって」
皆ぽかんと口を開ける。
蒼空は砂のお城に夢中だけど。
私、変なことしたかな。
「あ、もしかして私が口付けたから、もう飲めないとか、そういう?」
「いや、そうじゃなくて。優那ちゃん、それ関節キス……」
透の顔が、心做しか赤い。
「関節キス……?」
透の飲みかけのペットボトルをギュッと握りしめた。
へ、あ、あぁ……。
関節キス……ね。
「うっわ、今更赤くなってる」
「き、気にしないで大丈夫だよ。別に直接したわけじゃないんだし、このくらい……ね?」
不覚にも少し動揺してしまった。
「関節キスくらい、どうってことないんじゃないか?だってもう蒼空と______ふがっ」
私は急いで真の口を手で塞いだ。
それ以上言わせてたまるか、と。
あれは事故なんだ。
私の不注意による事故。
元の原因は真がついた嘘から始まったんだけど、それを容易く実行しかけてしまった自分にも非がある。
「なになに、気になる」
「なんでもない」
そっぽを向いてシラを切った。
「……お腹すいた」
「もうそんな時間?あ、なら、山城くんのとこ行こう。そうしよう。ね、蒼空」
「ん」
「じゃあ、僕は荷物番してるよ」
「じゃあ俺も。夕だけじゃ心配だからね」
「なにそれ、僕信用されてないの?」
「ってことで俺たちは買い出しか」
「僕、フランクフルトね!あとはおまかせで」
「俺もなんでもいいかな」
「了解。んじゃ、行くか」
「うん」
「………食べ物のいい匂いがする」
海の家はいくつもあって、各場所から美味しそうな匂いが漂ってくる。
そういえば山城くんのお店の場所聞いてなかった。
どこだろう。
「あ、蒼空!勝手にふらふらと行くんじゃねぇ。待て!」
「美味しそうな匂いが……」
ふらふらと砂浜を歩いていってしまう蒼空。
そんな蒼空は、呼び止める声を無視してお店の方へと向かう。
「お、凪宮さんたちじゃん!本当に来てくれたんだな!」
すると、店内で汗水流しながら鉄板で焼きそばを作る山城くんがいた。
つまり、蒼空が匂いにつられてやってきた場所は、山城くんのお店だったのだ。
「すげー、いい匂いだな」
「ここでお昼買う予定だったけど、場所分からなかったから。蒼空、凄いね」
「たまたま」
そこでお昼を5人分買った。
「そういや、他にもうちの学校のやつらが何人か来てたぜ。なんでも、午後に開催されるビーチバレー大会が目当てらしいぜ?」
ここの海は割と有名だからな、と自慢げに言う。
「ビーチバレー大会?」
そんなものがあるのか。
初耳。
「そ。二人一組でエントリーして、トーナメント戦で行われるんだ。優勝チームには豪華景品があるんだ」
「ははん、面白そうだな。おい蒼空、出るぞ。」
ニヤりと真の口角が上がる。
「えー」
「優勝して豪華景品を貰いたいだろ。もしかしたら蒼空にぴったりの巨大抱き枕とか………」
「別に大して欲しくはないけど、そこまで言うなら、仕方ないから参加する」
間を開けさせない勢いで食いついた。
「山城くん、エントリーってどこでするの?」
ちゃんとエントリーしなければ出れない。
「俺がしとくよ。今年は俺の親父が責任者だからな。そこの2人でいいんだよな?ちなみに、俺も出るんで当たったらよろしくな」