不良にならなきゃ★始まらない?!

その人は、校門の近くで待っているらし

い。もう、仲間のみんなは屋上に集まっ

て、開始前の一服をしているはず。急が

なくちゃ、何の用事なんだろ?


えっ?!アイツらは?!


私を待っていたのは、いつかのチャラ男

だった。一体、何の用?!


「一華ちゃん」

『何で、名前知ってんの!!』


「だって俺たち、今日が初めてじゃない

じゃん?」

『ふん、何の用!私、忙しいの!』


「そんなに、興奮しないでよ。ねえ行こ

う?紗夜ちゃんもいるから」

『へっ!!?』


男の口から、想像もしない言葉が飛び出

した。


この前と同じように、近くに車が停めて

ある。スモークで中の様子はよく見えな

いけど、紗夜がいるかもしれない!!


一気に、頭に血が上って、怒りが込み上

げてきた。


『ふざけんな!!紗夜はどこ!!』

「こわい、一華ちゃん!一緒に来たら分

かるよ。行こう?」


『さっさと、紗夜のとこに連れてけ!』


私は男に連れられて、車まで移動した。

いかにも高級そうな車のドアを開けると

カーコロンの匂いがした。キツイ匂い。

スモークのせいで薄暗い車内を眺めると

運転席にもう一人のチャラ男が座ってい

るだけで、紗夜の姿はなかった。


『紗夜は!!』

「すぐに分かるって」


そう言って男は、無理矢理、私を車に押

し込んだ。
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