不良にならなきゃ★始まらない?!

叫ぼうとしたけど、男に口を塞がれて声

が出せなかった。学校がだんだん遠ざか

る。ガッチリと身体を押さえられ、身動

きが取れない。私がもがく度に、レザー

シートがミシミシと不快な音を立てる。


助けて。


もう、誰にも届かない。


紗夜、無事でいて欲しい。神さまお願い

します。私がもがくのを止めると、男の

力も緩む。どうしたら助かるのかとか、

考える余裕もなかった。ただひたすらに

紗夜の無事を願った。


田園風景の中、生花の卸売り倉庫へと車

を進め、私はそこで降ろされた。あまり

遠くまでは来ていないみたいだ。見覚え

のある景色に気がつき、そう思った。


男は、私が叫べないように口をしっかり

と塞いで、後ろから抱えるように身体を

押さえつけた。息苦しくて、頭が真っ白

になった。


そのまま、倉庫へと連れられて行くと、

中には男が二人待ち構えていた。苦しく

て意識が飛びそうになりながらも、紗夜

の姿を探した。


居ない、どこ?!


『紗夜は?!』

「居ないよ」


男が、冷たく言い放った。


『騙したの?』

「さあ?」


やっと、身体を解放された思ったのもつ

かの間、先に待っていた男達に両手を掴

まれ、倉庫の真ん中ほどにある大きな台

に乗せられた。
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