阿漕荘の2人

夏の終わり 2

紫子side

その日、香具山 紫子は夏祭りに行く予定だった

夏祭りといってもお目当は花火や出店ではない

ビンゴゲームだ

ビンゴゲームを舐めたらあかんで

じつはこの海浜公園で行われるビンゴゲームは
何といっても商品にかなり金がかかっている
祭りのスポンサーが大手電化製品メーカーであるため

最新のテレビ、冷蔵庫、オーブントースター・・・

目がくらむくらい欲しくてたまらない

たがら
紫子はその日、大学の友人である
桜花 櫻子 を誘ってビンゴゲームに来ている

櫻子は名前の通りなかなかの美人で
しかも何処かのご令嬢だとか
そうじゃないとか

じつは香具山 紫子も
芦屋のお嬢様だったりする

全くお嬢様らしさはないのだが……


そんなお嬢様方でも
最新家電は喉から手が出るくらい欲しいのだ

実際に喉から手が出たら
家電どころでは済まないが……


ビンゴゲームは午後5時から6時までの1時間

たがら紫子は4時に阿漕荘を出た
海浜公園まで30分かかると考えても充分に間に合う計算だ
櫻子は時間に厳しく少しでも
遅れると
機嫌が悪くなり
お説教Timeの始まりだ

誰が好き好んで
祭りの日まで怒られたいものか…



香具山 紫子は海浜公園前の
四ツ倉駅に降り立った

約束の時間まで15分もある


既に待ち合わせ場所の駅の噴水前に着いた

目と鼻の先には屋台が並び
奥にステージがある

ビンゴゲームの会場だ


なんや、ワクワクしてきたなー
櫻子早く来んかなー


夏祭りの会場は家族連れやカップルで賑わっている

気長に待つかー

そして4時55分


おかしい?櫻子が来ない…?

櫻子が時間に遅れりなんて……

もうすぐ、ビンゴカード配りだすで

早よこんかいな

怒ったるで!

紫子は巾着袋から携帯を取り出す

連絡は……来てへんか?


それから5分経過


もう5時は過ぎてビンゴゲームは始まっている

紫子もまた人に待たせるのが嫌いで

イライラが止まらない


もう!なんやの!
電話かけたるで!


桜花 櫻子のアドレスを開く



…………?アレ?

…………?おかしいなあ、出ない?


もしかしたら、電車の中かもしれない

急いでこっちに向かっているのかもしれない



その時だった



誰かが紫子の肩を叩く


紫子はびっくりして振り向くー


予想外の人物がニコニコと
胡散臭い笑顔を紫子に向けていた
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