阿漕荘の2人
紫子side

香具山 紫子は目を覚ました




あ、うち………



そう、今日はクリスマス…………



なんだか、いろんなことが、昨日………




そう、まさに走馬灯のように……



あれ?




これ、使い方ちゃうな……………





こうゆうの…………なんてゆうん?






海老で鯛を釣る?




ってか、海老も鯛も高級魚類やんか





海老って桜エビのことかいな?





あれ、うち、いま…………




どこにおんねん?




ベッド?ダレの?




あっ、あかん!!!



「服!!」




香具山 紫子がベッドの上から飛び起きた




「着てるよ」




小鳥遊 練無はすでに化粧と着替えを終えていた





本日は日曜日。




日曜日は小鳥遊 練無の特別な趣味を発揮する日だ




一方、香具山 紫子は自分が服を着ているかどうか確認している



「してないよ、エッチ」



「あほ!朝っぱらからゆうな、そういうことは!!」




紫子が顔を赤らめて練無を見る



「しこさん、大きいから、僕のベッド占領してたんだからね
おかげで、僕はソファで寝たから
身体がガチガチ………」




「ほう、ほう
なんやねん、うちのせいかいな、それは
そういうキミはなんねん、
そんなピラピラの格好した奴に
そないな口きかれたくないでえ」




「これは、もっと大きいベッド買わないとダメだなあ」



「……………うち、ツッコまへんからな」



「どちらかと言うと、しこさんは、突っ込まれる方だよ
突っ込むのは、むしろ、僕」




「…………ツッコミの話やろな……」




練無は胡散臭い笑顔を向ける




「もちろん、さあ、おいでよ、
コーヒー飲もう」


練無がコタツに入りながら手招きをしている


「あー、顔洗って出直すわ
洗面所貸してな」



「………それ、なんか違くない?」



紫子が洗面所から戻ると

コタツの上には朝食が用意されていた



「あーええわー
やっぱ、朝は味噌汁にかぎんな」


「………いつもはまだ寝ているでしょ」



時刻は朝8時
一般的に朝食の時間としては遅い


「君、鮭、焼きすぎやろ、これ
鮭に謝れや、可哀想や」


紫子が箸を取る


「僕はこんがりが好きなの
ベーコンもパキパキになるくらいに焼いて食べるの」




「贅沢なぼっちゃんやな」



「どっちが……」




「そういえば、君?」




紫子はずっと気になっていたことを聞こうと決心した



「キミ、彼女おるやろ?」



「はあ?」



練無が仏像の涅槃の目に近い状況で
聞き返す



「昨日、誰に会ったん?」




「誰って、森川としこさんだよ」




「ちゃう、ちゃう
バイトやって嘘ついてたやろ、キミ」



「嘘じゃないよ」




「…………別にええやん、君が見境ない奴だとは分かってんねん
正直に話したらええねんか
誰と会ったん?男?女?」


「どっちだったら、やきもち焼く?」



「きい!うちは分かってんねんよ!
あの茶髪の女やろ」




「あー、あれ、なんで知ってるの?」




「見たんや、君と茶髪が仲睦まじく食事しておるとこ、
学校でも会ってたんやろ」


「………森川か、リークしたのは」



「あのな、うちの口から、こうゆうこと言いたくないけどな、
欲求不満なら、うちやなくて、
彼女に…………」


「はあ?」



練無が怒りの形相で紫子を睨む



「しこさん、伝わってないの?
昨日、あんなに僕言ったよね?」




「だから、いくら見境なくても
あーゆうのはな、彼女だけに………」


練無が急に紫子の箸を奪い、その手を掴む


「ちょ、なに?!」


「彼女がいたら、しこさんにあんなことするわけないでしょ

イブの夜は、バイトであの人と
チェスをしただけ」


「チェス??」

「そう、それだけ
もう、会うことはないだろうし………
ってか、それよりも!!」

練無が勢いよく紫子をコタツから立たせて
まだ温もりの残るベッドに座らせる




「れんちゃん、なんやねん
服、シワになるで!!」




「あー、昨日ので伝わったと思ったのに、これだもんなあ
やっぱり、エッチしとけば良かったかな」


「ちょ、ちょ、なんの話!
もう、やめなさい!朝やで!」


練無は紫子の手首を壁に押しつけ
彼女の腰の上にまたがる



「朝だし、あんまり声出さないでね」



「ちょ、れんちゃん…………!」



こうして
練無のお仕置きがはじまるのです。
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