Dilemma
「はいよ。」

「またココア…嬉しいけど。」

「…文句あんなら私に渡せ。」
「ありがとうございます高蔵様!!」

あれから完全にフリーズしていた空気だったが、そろそろ最終下校時刻だ、と伝えにきた先生に外に追い出されて、今。


「落ち着いたか?」

「うん、ごめんね。取り乱して…」

「誰だって突然、予想もせんかった事実突きつけられたら取り乱すやろ。気にせんとき。」

「…そのわりには二人は取り乱してるようには見えなかったけど。」

ココアを飲みながら言う愛梨に、二人は苦笑した。

「前にもここで言ったろ?この学園に呼ばれた大体の理由は推測出来てるってさ。」

「…落ち着いてたのは、自分の犯した罪を償う勇気、そして覚悟がもう出来てたから…かな。」

「覚悟…」

二人の言葉を反芻するように、愛梨は呟いた。
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