Dilemma


ガラッと教室の扉を開ければ、中にいた生徒たちが全員振り向いた。が、彼女らに挨拶しようとする者は一人もいなかった。


「ヒソヒソと感じ悪いなぁ。ホンマ女って嫌やわぁ。」

「ここ女子高だから。女子しかいないから。あとお前も女子だから。」


「おはようっ」

そんな会話をしていると、例の人物が入ってきた。久堂愛梨だ。



「…おう。」

「おはようさん、愛ちゃん」

志暢は若干面倒臭そうに、棗はにっこりと笑って答えた。

「うんおはよう!聞いて二人とも!私、他のクラスに友達出来たんだ!!」


「へぇ」

「良かったやん」


「テンション低っ!」

あまりのテンションの違いに、ビビりまくる愛梨であった。





「だってさ?こっちは普通のテンションなのにいきなり他の奴に高すぎるテンションぶつけられてみろよ?」

「ウザすぎて抹消したくなるレベルやな」
「ごめんなさい許して下さい。」

もしかしてこの二人低血圧?なんて考えられる今はまだ余裕だったということなのだろう。


「もしかして二人とも、このメンツ以外に友達とかいないの?」

「……………」
「…じ…人類みな兄弟…」

「いつの時代の話だよ!!」

もしかしなくても、とは思っていたがやはりそうらしい。

「まぁこんな問題児たちとなるべく絡みたくはないよね~」

「うるせえ!失礼な奴だな天界に留学しろ!」

「遠回しに死ねっつってんのか!!」

やはり今日もろくな1日にならない、と確信する愛梨だった。

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