ボクは中途半端にキミを愛したりしない。
不健康そうに見える程、肌が白くて、


魅力的な唇で、


漆黒の瞳は時に蒼く見え、少したれ目で色っぽく映った。




真っ黒な髪の毛は、なんだかいつもボサボサで、


服装も真っ黒。



服が真っ黒過ぎて、肌の白さは更に引き立った。






性格は、芸人のくせして人見知りで大人しくて。



そのためか、無表情になってしまっていて、知らない人には恐怖を与えてきたみたい。




…それでも、ふと、くしゃくしゃにして笑う彼が一番好きだった。




耳元で奏でる甘いバリトンボイスも、

寝起きの不機嫌タイムも、

スラッと綺麗な指も、

猫背なところも、





…全てが好きだった。





物静かな彼が時々紡ぐバリトンに、酔っていたのだ。





…それなのに。



彼は突然姿を消した。







テレビやラジオ、雑誌なんかにもあなたはいるのに、





…私の前にはいないのだ。





『…いつも言わずに後悔しとるから言うね。










ボクは、中途半端にキミを愛したりしない。』








そう言って、哀しくキスをした理由を教えて。
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