懲りもせず、恋する私
夜になり、
夕食を近くの
可愛らしいペンションのレストランで
フレンチをご馳走して貰って

「翼、凄く美味しかったね。」
「喜んでくれて良かった」
手をつなぎ、
別荘の横の小道を進むと、
小さな小川が流れていた。

そこには、別世界の中に迷い込んだかのような錯覚さえ覚えるほど、
付いては消える
ホタルの光が
キラキラと夜の暗闇を
明るく照らしていた。
「うわ〜〜!綺麗〜〜。」
それ以上言葉が出てこなかった。
あまりにも美しく、神秘な世界。
ただ、無言で緩やかな水の音と
光の幻想的な世界に
浸った。
「つぐみ?どうした?」
「えっ?」
「涙…。」「感動しちゃって…」
ぎゅっと握られた手のぬくもり、
「さぁ、そろそろ帰ろう」
「うん…」

別荘に戻り
「翼、素敵なところに
連れてきてくれてありがとう。」

「泊まってくか。」
「でも…着替えとか…ないし。」
「たしか…。」
ゴソゴソと
奥のクローゼットを開けた。
「あった!」
差し出されたのは、
新品のパジャマと
女性物の下着。
「なんで…そんなのあるの?」
きっと…元カノとかの何だろう…。
翼に彼女がいなかったなんて
あり得ないもの…。
だけど、凄く嫌だった。
< 25 / 66 >

この作品をシェア

pagetop