真実の愛のカケラ
じわりと、目から溢れ出た涙が次々に頬を伝う。
どうしても楽しくなったであろう拓哉との時間を想像してしまう。
心のなかは空っぽなのに、すごく重たい。
もう立ち直れないんじゃないかという程に。
こんなにも孤独感を味わったことはない。


拓哉も事実を知らされた頃だろうか。
…あー、駄目だな。
拓哉のことばっかり考えてしまう。
会社も、このアパートもこの街も。
思ってた以上に拓哉との思い出が散りばめられている。
今の私にとっては居心地の悪い場所となってしまった。


だから、迷ってる時間なんてなかった。
スーツケースを押し入れの奥からゴソゴソと取りだし、上手く働かない頭で荷物を詰め込みそのままアパートを出た。


明後日拓哉はお見合いするのか…。
2人が別々の道を歩むことに胸を痛めながら。

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