初恋の甘い仕上げ方
お説教じみたことばかりを私に言う翔平君には慣れてるけれど、久しぶりに聞くと必要以上にびくびくしてしまう。
「今までもずっとひとりで帰ってたけど何もなかったし大丈夫だよ。翔平君だって疲れてるでしょ? 気を遣わなくてもいいよ」
へへっと笑い、そう言ってみたけれど、眉を寄せた表情には変化がなく、私の言葉に頷きもしない。
私が今どこに住んでいるのかを教えるまでこの場を動かないとでもいうように睨みつけてくる。
右足に重心をかけて、胸の前で腕を組むその姿は怒りのオーラ全開だ。
「そんな、怖い顔しないでよ。昔は優しかったのに」
「女ひとりを夜道に放り出す男が優しいっていうのか?」
「そういう意味じゃないよ。昔は私を単純にかわいがってくれたのに。今みたいに私を睨むこともなかった」
そう言って、コンビニをあとに歩みを向けるのは、私の住むマンションだ。
口では送らなくてもいいって言いながら、送ってもらう流れを作っているのは私なのか翔平君なのか。
ゆっくり歩く私の半歩後ろからついてくる翔平君を意識しながら、ただ前を見て歩き続けた。
コンビニから家まで、歩いて三分ほどの道のり。
翔平君が心配する必要なんてないのにと思いながらも、この時間が少しでも長く続けばいいと無意識に歩みが遅くなる。