初恋の甘い仕上げ方
一旦その気持ちに気づいてしまうと、明日からひとりで帰るのが怖くなりそうだけど、とりあえず今はそれには気づかない振り。
「防犯ベルはちゃんと持ってるよ。それに仕方ないでしょ? 仕事しないわけにはいかないんだから」
私の強気な言葉に、翔平君は大きなため息をつく。
私がこうしてひとりで夜道を歩くことがかなり心配らしい。
身内である兄さん以上に私の行動に気を配り、何かと手を差し伸べてくれていた翔平君。
今では私にお説教じみたことばかりを言っては眉を寄せ私を叱る。
優しい瞳と穏やかな声で私を守ってくれていた子どもの頃が懐かしい。
「萌、お前もう少し早く帰れないのか? 毎晩こんな夜道をひとりで帰っていたら、そのうち妙な男に襲われるぞ」
隠すことのない怒りを含ませた声で私にそう言うと、翔平君は突然私の手を取り、ぐっと引き寄せた。
その反動で、私は思わずその胸に飛び込んでしまった。