初恋の甘い仕上げ方
私を心配するその様子は家族以上にあからさまで、私のすべてを監視しているような勢いもあった。
どちらかというと、「もう大学生だし、成人しているし」という温かい目で私の好きにさせてくれる家族と違い、翔平君の私への態度は極めて厳しかった。
そういえば、兄さんと翔平君は昔から小さなケンカを繰り返していたけれど、その原因の半分以上は私のことだったなと、思い出す。
私が高校に入学したときにも、制服姿の私を見ながら「かわいい」を連発していた兄さんに対して、翔平君は「スカートが短すぎる」と言って怒っていた。
大学受験のときも、「そろそろ自立してもいいんじゃないか」と言っていた家族の大らかさとは対照的に、「女の子のひとり暮らしなんてだめだ」と言ってひとり暮らしを断固反対した翔平君。
そのせいで、私は自宅から通える大学に進学した。
希望する学部があったからいいものの、なくてもきっと翔平君に押し切られていたに違いない。
兄さんは、そんな翔平君にいつも呆れていたけれど、結局最後は折れていた。
頑固な翔平君は、一度言い出したことは絶対に変えないとわかっているからだ。
「樹も俺も、こうして毎日送ってやれないんだから、防犯ブザーを持つとかして気を付けろよ」
ぶつぶつ言いながらも、翔平君は私の隣りに並び、一緒に歩いてくれる。
たとえ呆れた声で怒られて、厳しい視線を投げられても、翔平君が隣りにいるだけでほっとする。
駅から近いし大丈夫だと思いながら帰っていた夜道だけれど、やっぱり私は気を張っていたんだなと実感した。
隣りを歩く翔平君の存在が嬉しくて仕方がない。