本当のわたし
「そうね。今すぐにじゃなくても良いのかもしれない。だけど、もしいつか彼方が真実を知ってしまって検査を望んだらそのときは協力してほしい。」

そう言って梨花さんは陸斗に頭を下げた。
梨花さんの言葉を聞いて、三木さんは納得した顔をして陸斗に頭を下げた。

「頭を上げてください。僕が彼方くんにしてあげられる事はきっとそれくらいしかありません。だからもちろん協力させていただきます。」

陸斗は笑顔でそう言った。陸斗の優しさと強さはどんなに歳をとっても敵わないと改めて思わされる。だからやっぱりそんな陸斗の側にいたい。陸斗にとって家族と呼べる存在でいたい。言うなら今しかない。

「あのさ俺やっぱり夏川でいたい。三木さんの気持ちを否定するわけじゃない。でもやっぱり俺は陸斗と家族いたい。」

「優希…。だけど…」

「わかった。」

「梨花!そうしたら梨花が三木さんのご両親からなんて言われるか…」

「私は大丈夫よ。優希のことをずっと私のわがままで振り回してきた。傷つけてきた。だから母親として優希が望む事を一つくらいは叶えてあげたい。」

「母さん達には俺から話すよ。だけど、たまに会いに来てほしい。彼方だって優希くんに会いたいだろうし…。戸籍を抜いても優希くんの父親だって思っていちゃダメかな。」

「いいんじゃないですか。」

「陸斗?」

「優希が言ったんじゃないか。側から見たら欲張りかもしれないけど、父親が2人いていいんじゃないかって。」

「そうね。だったら私はあなたにどう思われていても母親だって思い続けることにする。」

3人の言葉がすごく嬉しかった。
俺は生きてていいんだ。
俺は愛されているんだ、2人の父親と梨花さんに。それに慕ってくれる弟もいる。
ちゃんと幸せ者だったんだな、俺は。
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