本当のわたし
引き留めるのは悪いと思ったけど、もう一つ梨花さんにお願いがあるんだ。

「梨花さん、次帰ったとき陸斗と3人で一緒にばあちゃん達のところに行こう。俺も久しぶりにばあちゃん達に会いたいし、それにばあちゃん達も梨花さんと陸斗のこと心配していると思うし」

太一さんに申し訳ない気持ちもあるけど、これは3人で乗り越えないといけない事だと思うから。

梨花さんは迷った顔をしたけど、ちゃんと約束してくれた。
たぶんばあちゃん達のことをずっと気にかけていたんだと思う。でも縁を切ると言ってしまった手前、どうしたら良いのかわからなかったんだと思う。

色んな家族の形があって良いんだ。
そこに正解なんてないんだから。

血の繋がりも名前も戸籍も目に見える表面上でしかない。

目には見えない大切なものだってある。

それはきっと本人達にしかわからないもの。

だけど表面上のものだって求めてしまう。

生きていたら誰だって不安になること、自信を無くす事がある。それを癒してくれるのは表面上のものだけだから。

カップルがつけるペアリングや、夫婦のつける結婚指輪だってその一つだと思う。

表面上のものは自分に安心と自信をくれる。

それが俺にとって、陸斗と同じ名字であるという事なんだ。
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