本当のわたし
「じゃあまた海でねー!」

なると別れて歩き出す。

今日は三日月だ。
あたしは満月よりも三日月が好き。
完璧じゃなくても輝くことができると思わせてくれるから。

完璧で綺麗な満月じゃなくても同じように輝いて、みんなを平等に照らしてくれる。

あたしが昔そう言ったらあの子は凄く共感してくれて、そこからあたし達は三日月が好きになった。

足りないところを補い合って人は生きている。だからあたし達もそうやってイラストレーターとしてやっていこう。

そんな想いを込めて『双子の月』というハンドルネームをつけた。

当初は、三日月と2人の月という意味を込めて「三月美月」にしようとしたんだけど、それだと人名みたいになってしまうから、と話し合いの結果、ギリギリでハンドルネームを変更したんだっけ。

「懐かしいなぁ〜」

夜空を見上げながら呟く。
あの子との思い出がいっぱい溜まった「三月美月」という名前を名乗る日がくるなんて思いもしなかった。

自然と涙が溢れてくる。
この涙は懐かしさなのか、悲しさなのか今のあたしにはわからない。

でも前者であってほしい。

いつまでも過去に囚われたくない。だけど自分の弱さを受け入れるのはやっぱり怖い。

弱い自分をそれも自分なんだと受け入れようと決めたはずなのに、改めて自分の弱さに直面すると背を受けたくなる。

どうしたらもっと強くなれるんだろう。
どうしたらもっと…

そこまで考えてやめた。
これじゃ今までとなにも変わらない。

深呼吸をし、家に向かって再び歩く。

楽しい事を考えよう。
海もお祭りも楽しみだなぁ〜。
早くなっちゃん達に会いたい。なっちゃん元気にしてるかな?

そんな事を考えていたら気づいたら涙は止まっていた。

なっちゃんパワーってすごいね。
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