お隣さんと内緒の恋話
呼ばれて行けば不意打ちのキス。
思いもよらない出来事に鼻血噴火寸前。
料理の出来ない私、卵すら まともに割れなかった私…
まさかのキスで有頂天になり、卵の殻なんてどこへやら。
ニタニタしながら携帯を弄る事30分。
「 椿、出来たけど どんぶりある?」
「 え、どんぶり? あったかなぁ…」
「 じゃあ いいよ、適当に入れるし。机にある本とか片付けて 」
「 あ、うん!」
葵ってすごいな~…って、そうじゃないじゃん!
これ、普通は逆よ、逆!
また落ち込む私をよそに、葵は食べる準備を進めている。
片付けてキレイにした机に葵が親子丼を運ぶが 見て驚いた。
「 葵… 親子丼が4つ?と、味噌汁?」
なぜ4つ…
あ、どんぶりがなかったんだ!
「 茶碗とサラダ皿に親子丼をな。ま、いいだろ 」
あははは…
なんか親子丼が可愛そうな。
今度どんぶり買お。
「 美味しそう!いい匂いだし、丼物は久しぶりだよ 」
「 ちょっと大人味だぞ、椿のために 」
え、私のため? 嬉しいんだけど~
「 大人味かぁ、いただきます!で、なんか特別な味付けでもしたの?」
「 秘密、食べて当ててみな 」
ま!意地悪くん。
食べてみると、鼻に抜ける微かな香り、この香りを私は知っている。
ん! これ、もしかして…
「 葵、生姜 入れた?」
「 正解!生姜は体をあっためてくれるんだ、だから少しだけ入れた。
ちゃんと食べろよ、椿 」
葵…
泣いてもいいかな。
だって 嬉しい事ばっかりだから。