お隣さんと内緒の恋話

葵、ほんと物知りだなぁ…

女が知ってるのが当たり前みたいな事、私ってば知らないし。

情けないなぁ…


大人味の親子丼を食べた私と葵はキッチンで並び洗い物をしていた。

テレビのない部屋に私と葵だけ。

静かな空間に、声は互いにはっきり聞こえる。

見つめ合ってしまうと照れるため つい視線を泳がせてしまう。

時間は夜8時となり、少し寒気を感じた。



「 椿、冷えてきたけど平気か?」

「 うん、大丈夫だけど寒いよね… 」


エアコンの暖房使う?

ストーブなんてないし…

風邪引いたりしたら困るよ。

あ、そうだ!


「 ちょっと待ってて!」


葵にそう言うと 私は寝室のベットから毛布を持ってきた。

これを二人で使えば温かいよね。



「 毛布?」

「 うん、これあればお腹とか冷えないし。ごめんね 葵、こんなんしかなくて… でも 新品だから!」


毛布を葵に渡すと、葵が立ち上がり私と葵を毛布で包み込んだ。


葵…

「 二人で使えば温かいよな 」


そう言って座る葵につられ私も座る。


「 葵、あったかいね 」


近いよ~ イケメン葵が近いよ~!


「 どっちがあったかい?俺か、毛布か… 」

「 葵だよ、葵が あったかいよ… 」


知らぬ間に 私と葵に しっとりした空気が流れ、互いに顔を近づけ始める。

目を閉じる寸前、バタン!と隣から音が聞こえ 私たちは目を見開いた。


「 …雅だ 」

「 帰ってきたのかな…」


見つめ合いながら雅が帰宅した事を話、我に返ると 今の自分達の状況に戸惑う。


やだぁ、今 キスしようとしてた…

寸止めなんて、ちょっと寂しいなぁ

キス、したかったな…


「 椿、キス…しよ 」


え…


「 …うん 」


私も、したかったの。葵…




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