お隣さんと内緒の恋話
彩香のケガが大したことなく、葵は彩香を送るようにキッパリと雅に言った。
「 葵、椿ちゃんと せっかく二人なのに… 」
あ、私のせいにして逃げてる。
「 雅!」
「 わかった、わかったから。彩香と飯食ったら送るよ 」
良かった。
「 雅、お前が泊まるなよ?」
あ、逆もあり得た…
雅は苦笑し、葵に言われた事が図星だとわかってしまった。
ああ、雅くん… いい大人なのに 嘘が下手だなぁ
話の最中、突然 彩香の携帯が鳴り出した。
私たちから少し離れて電話に出る彩香。
「 ……え、なに言って… 違うから、ちょっと!」
なに、どうしたの?
「 雅、大変!今 弟から電話で この近くにいるみたいなの、どうしよう」
葛西くんが、近くにいる?
「 なんで葛西が… 俺の家は知らないはずだけど… 」
そうだよね、知ってるのは私くらい…
だって 葵たちも引っ越してきたばっかりだし、なんでわかったの…
「 とにかく、ここだってバレるのも面倒、葛西の姉貴がいるのがわかれば さらに面倒、だから、ここから遠ざけるしかない 」
うん、葵 頭いい!
でも どうやって…
「 葵、どうすんだ?」
彩香さんがいるんじゃ 雅くんが外に出ても 結果は同じ…
下手に出て見つかったらアウト!
「 …この部屋は運よく1階だ、雅は車で今のうちに何とか出ろ。
椿は彩香さんと靴を持って 雅の部屋の窓から外に、俺は 雅のジャケット着て出る 」
つまり?
葵が雅くんに成り代わるってわけね。