お隣さんと内緒の恋話
私が両親と焼肉を堪能している頃、葵宅では雅が夕飯を作っていた。
「 なんだ、天津飯か…」
「 絵茉、文句言うなら帰りなさいっ 」
「 雅… 飯食ったら絵茉送ってけよ 」
「 葵!冷たいよ、ひどい~」
嘘泣きは オハコの絵茉を呆れては無視する葵に、雅も疲れ、絵茉を送ると言い出し、絵茉はとことん拗ねた。
「 葵… 昔は構ってくれてたのに、冷たいよっ
そんなに彼女が大事?」
「 絵茉、葵を怒らせるな。ほら 食べよう 」
ムッとしながら雅の作った天津飯を食べる絵茉に、葵も食べる。
時間は夜9時を回ったところで、雅が絵茉を送ろうとするが、絵茉は逃げる。
「 絵茉! 叔父さんに電話して迎えに来てもらってもいいんだぞ!」
「 なんで、やだ!葵の彼女 隣に住んでるんでしょ、私もここで暮らしたい!」
「 バカな事言うなっ 絵茉、帰るって!」
「 絵茉、いい加減にしろよ!帰れっ ここは兄貴と俺だけの家だ、帰れ!」
葵が怒りながら絵茉に言うと、半泣きで雅にくっつき慰めを求める。
雅はそのまま絵茉を送るため、葵を残し家を出た。
車の中で泣く絵茉に、雅は頭を よしよし として慰める。
「 なぁ、絵茉… 葵は今 恋愛中なんだよ、不器用な葵が椿ちゃんに恋してんだ、邪魔したら 2度と会ってくれないぞ?」
「 あのさ、私… 高1だよ?なんで子供扱いするわけ?もう いいよ、なんか めんどくさい… 」
苦笑する雅の横で 結局 相手にされなかった絵茉は拗ねるしかなかった。
時間は10時近くになり、私はパパに送られ帰ってきた。
「 パパ、ありがと。焼肉最高!またね 」
「 椿、ちゃんと勉強もしろよ?今日はママが喜んでたし、よかったな… 少ないけど こずかいだ、じゃ、おやすみ 」
「 ありがと~ 気をつけてね、おやすみ 」
やったぁ!こずかいゲットン!
私はパパを見送って 自宅へと振り向くと、葵が玄関先に立ち、私を見ていた。
「 椿… 」
「 葵… 」
私は 言葉が なかなか出てこず 葵を見つめた。