お隣さんと内緒の恋話
しばらく泣いていた柚奈が やっと顔を上げた。
「 は~… 私、顔洗ってくるね… 」
苦しいのに 笑って言う柚奈に、私が泣きたくなった。
その横で 香伊羅が涙をいっぱい溜めていた。
私は香伊羅にニコリと笑みを見せた。
「 柚奈がさ、話してくれるまで 少し待とうよ。お菓子食べてさ 」
「 うん、そだね 」
私がそう言うと香伊羅も賛成してくれた。
「 え~ スッキリさせてあげようよ、後々 グチグチするよりはいいんじゃない?」
笑里… 鬼だわ、あなた。
「 笑里、少しだけじゃん、辛いのはしばらく続くしさ 」
香伊羅がそう言うと、笑里は ふうっと一息吐いて 頷いた。
柚奈が部屋に戻ってくると、私たちは お菓子を差し出した。
「 柚奈、どれがいい?何でもあるよ 」
「 ほんとだ、買いすぎじゃない?」
少し笑みを見せる柚奈に どことなくホッとした私たちは 買ってきた味噌汁を柚奈に渡して お湯を催促した。
「 これ、マジで?」
「 うん、お願いしまーす!」
柚奈がお湯を入れて部屋に戻り、4人が黙り 味噌汁を見つめる。
始めに口を開いたのは柚奈。
「 …あったかいね。なんで なめこかわかんないけど、こういうの いいね 」
良かった、柚奈 少しは落ち着いたかな。
「 うん、おいしいよね 」
「 …私さ、意外とヤキモチ妬きで いつの間にか壮真を縛りつけてたみたい。
ダメだよねぇ 壮真が嫌がるのもわかるよ…
私が壮真に同じことされたら 嫌だもんね…
初めは好きでいっぱいすぎて 一緒にいるのが 当たり前で…
でも それだけじゃダメになってく事もあるんだね… 」
柚奈は味噌汁を見つめながら ゆっくり胸の内を話してくれた。