お隣さんと内緒の恋話
突然 笑里が柚奈に傷に触れる事を口にして、私と香伊羅は慌てた。
「 笑里っ、やめなよ 」
「 香伊羅は黙ってて!」
「 それはないでしょ、笑里… それに仮病とか言わなくても 」
「 何言ってんの、お菓子で慰めるために来たわけ?違うでしょ 」
それはそうだけど、新しく出来たばっかの傷に いきなり触れなくても…
香伊羅も私も、柚奈と話したくて来た。
「 笑里、柚奈は傷ついてんの、わかるでしょ?だから、ゆっくり…」
「 ゆっくり話せば柚奈は平気なの? 香伊羅、慰めは後だよ、話さなきゃ わかんないじゃん!」
あ~ どうしよ、私らが揉めてどうすんの…
「 ちょっと 二人とも~ 落ち着…」
「 やめてよっ!! やめてぇ~ お願い、やめて… 」
柚奈の事で話して揉め出した私たちに、柚奈が泣き顔で怒った。
その顔は もう 泣き続けたのがわかるほどだった。
辛い顔を見たとたん、私は柚奈を頭から抱きしめた。
「 柚奈… ごめん、泣かないでよ…」
「 私もいるよ 」
「 私だっているんだから!」
3人か柚奈を抱きしめ固まると、柚奈は声を上げて わんわん泣いた。
耳に響く柚奈の泣き声は 痛かった…
葵が好きでたまらない私には わかる。
胸が詰まりすぎて 息が止まりそうなくらいだった。
壮真を好きで、告白の決心をして いつも笑顔で壮真の隣にいた柚奈を、私は どう慰めていいか わからなくなった。
泣きすぎた柚奈は瞼が腫れ、声もかすれ、髪はボサボサ。
泣き続けた柚奈が 泣き止んだ時、笑里がティッシュを手にして涙を拭いてあげた。
「 みんな… ありがと。えへ… 壮真にフラれちゃった、私… ダメだね、ほんとにもう 」
柚奈…
「 聞いたよ、壮真に… 辛かったね 柚奈 」
「 椿… 香伊羅、笑里、壮真が好きなのに… ずっと好きなのにぃ フラれ… ん、ぅあぁっ !!」
柚奈っ…
涙が止まらないのは、今も壮真を思っているからだと わかると よけいに辛かった。