お隣さんと内緒の恋話
事実はいつか記憶から遠のき過去になる。
私の場合は まだ現実であって、昨日の事。
いくら葵に忘れろと言われても、責められもしないまま 優しい気持ちがいたかった。
「 私を殴ってもいいよ… 」
「 自分が許せないか… わかった、俺がいいって言うまで 椿からキスして。
条件は 場所を問わず、俺が言ったらキスしろ 」
葵の言い出した事に、変に驚いてしまった。
しかも葵らしくない命令口調。
「 場所は問わずって… 意味が?」
公衆の面前でもって事?
「 俺を裏切った責任、俺が好きなら出来るよな? 自分が許せないんだろ、だったら 出来るはず 」
そんな…
私からキスなんて、恥ずかしいでしょ!
「 ザボリついでだな、早退しようぜ 」
はい!?
「 葵? なんか変だよ… 早退はダメだよ?」
「 じゃあ、ここで… 今、キスして 」
えっ!?
本気なのっ
葵が急におかしくなってしまったとしか思えないほど、葵が急変した。
私のせいならば、間違いなく言うことを聞かなければ 後が怖い。
「 ごめんね、ごめんなさい…」
私が 葵を傷つけてる…
優しい葵が壊れちゃう、そんなの やだ!
「 好きだよ、椿、毎日 どこにいても 思ってる。だから 俺だけ見ろよ、な? 雅はもういい、兄弟の縁は切れないし、雅より俺を意識しろよ 」
泣く私の頬に伝う涙を葵の指が優しく拭ってくれる。
そして触れ重なる唇。
私も 葵が大好きだよ…